福島RDMセンターで古式ゆかしく上棟祭 120名以上が出席

2028年までのMIKASA艦の進水を會澤社長が明言 水素サプライチェーン構築に挑む

會澤専務はデジタルクローン建築の構想を発表

 

 

會澤高圧コンクリートは2022年10月26日、福島県浪江町においてかねて建設を進めて来た次世代中核施設「福島RDMセンター」の上棟祭を執り行いました。

上棟祭は、土地の神々や建築の神々に、RDMでの研究・開発・製造の活動を通じて地域の再興に尽くす決意を奉る「奉献」、古式ゆかしく棟上げを執り行う「祭禮」の二部構成で行われ、福島県 商工労務部 葉坂 聖一企業誘致担当理事や浪江町の吉田 栄光町長をはじめとした浪江町関係者や工事関係者など、日頃お世話になっている120名近くの皆様にご臨席を賜りました。

 

▲会場となった福島RDMセンター「研究開発棟」

 

会場となった福島RDMセンター「研究開発棟」は、連続地震にも耐え得る高い靱性を持つフルPC構造で建設され、329枚のプレストレストコンクリート(PC)部材によって構成されています。PC部材は全て敷地内でオンサイト製造されており、最も大きいものは1ピース15m、重量は24トンもの大型部材も使われています。

 

■奉献■

~オープニングムービー・プレゼンテーション~

13時30分の開式と同時に、研究開発棟A区画に設置した2面の大型スクリーンにオープニング映像が上映されました。5分ほどの映像では、RDMセンターが立地する標葉(しねは)郷の歴史や相馬野馬追などの伝統文化を紐解くとともに、私たちにとって「第2の故郷」となる浪江町とのご縁に感謝し、この土地に尽くす決意を表明しました。

オープニング映像の終了後、挨拶に立った代表取締役社長の會澤祥弘は、企業立地に至るまでの浪江町関係者のご協力に深く謝意を表明したうえで、「大平山という素晴らしい高台の土地に造成された南産業団地の、まさにど真ん中に、我々の未来を託すRDMセンターを立地することができた。ここで繰り広げられる研究開発や製造を通じて様々なコラボレーションを誘発し、新たなまちづくりを主体者として担って行きたい」と抱負を語りました。

 

▲會澤 祥弘代表取締役社長

 

私たちは、2000年にインターネットで制御する小型の無人ネットワークプラント「OOPS!」を開発して以来、コンクリートとテクノロジーを掛け算することで新たな企業価値を創造する経営手法を強化してまいりました。會澤社長は、2009年のアイザワ技術研究所の設立を契機に、MITやデルフト工科大学などの理工系トップ大学との共同研究を加速し、気候変動への影響を減らすことを求める潮流が大きくなっていた2019年、自己治癒コンクリートBasiliskの量産化に成功したことなどを振り返りました。

「壊れないプロダクツ」(自己治癒コンクリート)の実現とともに「脱炭素第一」を掲げて、「つくっては壊す」を繰り返す20世紀の経営モデルから脱却することを目指し、コンクリート業界のリーディングカンパニーといえる複数社がカーボン除去技術の共同開発や技術の相互移転を進めることで業界の脱炭素を加速させる活動「aNET ZEROイニシアティブ」を主宰するなど、脱炭素への最新の取り組みについても紹介しました。

参考:『aNET ZEROイニシアティブ協定』新たに8社と締結 協定締結10社で「第一回経営者会議」を開催

https://www.aizawa-group.co.jp/news2022101901/

 

コンクリート×テクノロジーによる価値創造の当面の集大成として、私たちは、エネルギーの自立と脱炭素に貢献する、浮体式洋上風力を活用したオフグリッド型の水素サプライチェーンモデルの開発を目指しています。先端の触媒技術を用い、風力由来の電気と水と空気からグリーンアンモニアを洋上風力の浮体上で直接製造して海陸輸送し、使用時に水素に転換する技術で、巨大なフルコンクリート製のグリーンアンモニア製造艦(GAPS)を大量に供給する生産技術開発がそのカギを握っています。

會澤社長は、ウクライナのザポリージャ原発を巡るロシアとウクライナ両軍の軍事対立に強い遺憾の意を示したうえで、「真のエネルギー自立に向かって、グリーンアンモニア製造艦GAPSの実証機を2028年末までに進水させる」と開発目標の期日について言及。GAPS一号艦については、日本海大海戦の旗艦「三笠」をモチーフに、エネルギーを他国に依存しない覚悟を込めて「MIKASA」と命名したことを明らかにしました。同時に福島RDMセンターを触媒にして、様々な人たちとの共同研究、研究助成、技術コラボレーションなどが必要であることを訴えました。

参考:洋上風力事業を本格化、グリーンアンモニア製造艦「GAPS」の実証機開発へ WIND EXPO に出展

https://www.aizawa-group.co.jp/news2022083001/

 

會澤社長は最後に、研究・開発・製造が一体となって繰り広げられるイノベーションの新たなアプローチは「RDMが完成する前から、ここで既に始まっている」と指摘し、福島RDMセンターの設立準備室長を兼ねる會澤大志専務取締役にプレゼンテーションのバトンを渡しました。

會澤専務によるプレゼンテーションでは、RDMの大型PC部材のすべてが建設予定の敷地内でオンサイト製造されたことに言及。そのPC部材を精密なデータスキャンによって、部材それぞれが持つ個性を把握しながら、互いに対話させ、自律的に施工の最適解を導き出す「デジタルクローン建築」という全く新しい施工管理手法について紹介し、人間のデジタルクローンの開発を行う株式会社オルツと共同で構想の実現を目指していることを明らかにしました。

部材の差異をありのままの“個性”として認識した事例として、7mm程度のわずかな歪みを持つ柱部材と梁部材の組合せの相性をスキャンデータによって判断し、実際に施工する前に細かな施工手順をシミュレーションして施工計画を修正したことで、柱部材に梁部材をぴたりと接合させることができた実例を挙げました。

會澤専務は、「机上の図面を信じるだけではなく、ありのままのデータをもとに合理的で最適化された施工を行う、建設の本質的な転換となるチャレンジとなった」と述べ、「このコペルニクス的な転回を建設の世界で繰り広げて行きたい」と意気込みを語りました。

 

▲會澤 大志専務取締役

参考:アイザワグループ一級建築士事務所ADAAC 都市空間管理DAO「SYNCWORLD™ ENGINE」開発へ

https://www.aizawa-group.co.jp/news2021120201/

 

會澤専務は、「『研究(Resarch)』と『開発(Development)』と『製造(Manufacturing)』の各工程が互いに作用して、新たなものづくりを創造して行くアプローチを、RDM研究開発棟の建設そのものを通じて実践しているのです」と強調。最後に「浪江町は新しい研究のための協力を惜しまずに行ってくれる最高のパートナー。先日国際研究教育機構の立地が決定しました。たくさんの人が訪れる最高にワクワクする町に必ずなります。今日ここに脚を運んでいただいた皆さんと、一緒に未来に向かってこの地で進んでいけたら嬉しいです」と締めくくりました。

 

~高性能二軸エンジンドローンAZ-500のホバリング~

続いて、プレゼンテーション会場に隣接するB区画の建物では「アラセ・アイザワ・アエロスパシアル合同会社(AAA、本社静岡県浜松市、共同代表:會澤 祥弘、荒瀬 国男)」が開発した、高性能二軸エンジンドローンAZ-500の飛行デモを行いました。

当日は名古屋で開催されていた展示会「なごやロボデックス」会場より、AAA共同代表の荒瀬国男が中継で参加し、会社の設立に至った経緯や超無人機AZ-1000について説明しました。

 

▲なごやロボデックス会場より中継で参加した荒瀬国男

 

今回名古屋で初披露となったAZ-1000は、AAA設立当初からの「世界一のエンジンドローンを作りたい」という想いから開発され、ドローンの概念を突き抜ける小型化・軽量化・高出力化を実現したことで、「超無人機」と命名されました。また荒瀬が独自開発するエンジンは世界一を目指すニッポン男児の気概を示すために「國男」とブランディングされています。

参考:1000ccエンジン搭載「超無人機」 アラセ・アイザワ・アエロスパシアルが開発

https://www.aizawa-group.co.jp/news2022102501/

 

荒瀬は「500ccエンジンの音や風や匂いを感じて欲しい。『これが世界一になっていく日本の宝であるエンジン技術由来のドローンの姿だ』ということを感じてほしい」と伝えました。

荒瀬の「エンジン始動」という掛け声とともに、AZ-500からは迫力のあるエンジン音が鳴り響き、強い風を吹かせながらプロペラを回転させておよそ40秒後にゆっくりと浮き上がり、30秒程度のホバリングを行いました。機体が停止すると本体に近づいて直接触れたり、写真撮影を行う人で囲まれました。

 

▲ホバリング飛行を行うAZ-500

 

▲ホバリング後のAZ-500

 

~c3dpによるデモンストレーション~

祭禮会場となる大型仮説テントはC工区の中に設置され、その横ではコンクリート3Dプリンタ(c3dp)のデモンストレーションを行いました。

c3dpによって印刷されたのは今年7月末に北海道の新冠町にオープンしたグランピング施設の外壁の模様で、アールデコをモチーフとした立体的な菱型の模様を描く層が次々と重なり、目の前で型枠を使わずにコンクリート製品が出来上がっていく姿をご覧いただきました。

c3dpマシンは、現在のアーム式から空間の制約を開放させた姿であるガントレー式を第二世代とし、さらにその先には超無人機AZ-1000をベースマシンとした空飛ぶコンクリート3Dプリンタ「F3DP」を第三世代として、研究・開発が進められています。

この空飛ぶ3Dプリンタが建設サイトに乗り込み、現地の材料を使用して送信されたデータ通りに構造物を印刷する、時間と空間の制約を乗り越えた21世紀のモノづくりによって、グリーンアンモニア製造艦「MIKASA」のフローター印刷が実現される見通しです。

 

▲グランピング施設の外壁をプリントするc3dp

 参考:コンクリート3Dプリンタで宿泊施設を国内初 “印刷”
https://www.aizawa-group.co.jp/news2022072801/

 

■祭禮■

午後3時ごろから行われた「祭禮」は、相馬妙見中村神社の森 拓樹宮司によって執り行われました。相馬市中村に社殿を構える相馬妙見中村神社の起源は、千年以上前の930年ごろと言われており、寛永20年(1643年)に18代藩主相馬義胤によって建立された社殿は相馬地方の代表的な古建築として、国の重要文化財に指定されています。

 

▲相馬妙見中村神社 森 拓樹宮司

 

神事には来賓の皆様にもご列席を賜り、祭禮会場の屋外で行われた「結綱の儀」では棟に繋がれた紅白綱を来賓の皆様が全員で持ち、棟の上から工匠長が祝詞を読み上げると、「エイ・エイ・エイ」という掛け声と共に綱が引かれました。当日は肌寒く、曇り空でしたが、綱を引き終わると雲間から陽の光が差し、明るく照らされた福島RDMセンターは上棟を祝う拍手に包まれました。

 

▲結綱の儀

 

棟の上で棟梁による建物の安泰を祈る掛け声とともに大工が大槌を打ち付ける「槌打の儀」、大工によって梁の上に棟札を納める「棟札掲揚」が行われ、来賓の皆様と共に福島RDMセンターの棟上げを行うことが出来たことに感謝すると共に、残る工事の安全の祈願を行うことが出来ました。

「祭禮」の最後に、代表取締役社長 會澤は御来賓の皆様への感謝とともに、「これから社員一丸となって、浪江町とともに歩み、新たな歴史を刻んでいきたいと思っています。皆さんには浪江町を是非覚えていただき、全国に発信していただきたい」と締めくくりました。

 

▲最後に挨拶を述べる會澤 祥弘代表取締役社長

 

■“未来は「開発」できる!!”をテーマに会社案内を刷新■

ご列席いただきました皆様には、上棟祭の開催にあわせて刷新した会社案内を御引きと共にお渡しいたしました。

“未来は「開発」できる!!”をキャッチコピーとした会社案内は、この福島RDMセンターが研究・開発・生産の舞台となる、「コンクリート×テクノロジー」による新しい企業価値やモノづくりの姿を描いたものです。

永久に完成をみないモノづくりの実験要塞となるこの福島RDMセンターへの想いに共感をしていただき、様々な形でコラボレーションをしたいと思っていただくことが私たちの願いです。

新しい会社案内は、下記よりご覧下さい。

 

△画像をクリックすると、ご覧いただけます

https://www.aizawa-group.co.jp/home/wp-content/uploads/2022/11/AIZAWA_CompanyProfile2022.pdf