aNET ZERO Initiative 第六回経営者会議を開催
脱炭素化の実装フェーズへ – 防衛施設市場への展開を強化
建設産業の脱炭素化を推進する主要コンクリートメーカー55社による政策集団『aNET ZEROイニシアティブ』は、3月3日に東京都内とオンラインのハイブリッド開催で第六回経営者会議を開催しました。本会議では、防衛施設市場への展開について重点的に議論し、自己治癒コンクリートの導入を加速させるための戦略を検討しました。
■防衛施設市場での拡大戦略
現在、防衛施設の老朽化が進んでおり、施設の維持管理において耐久性の向上とメンテナンスコストの削減が急務となっています。
2025年2月に開催された「防衛施設学会年次フォーラム2025」において、會澤高圧コンクリートおよび『aNET ZEROイニシアティブ』は、「自己治癒素材で実現する防衛予算の戦略再配分」をテーマに、『Basilisk』の技術内容や供給体制を紹介しました。
また、同フォーラムの講演では、防衛施設の「超」高耐久化を実現するバイオマテリアルの活用について発表し、CO₂排出削減やメンテナンスコスト低減の観点からの有用性を強調しました。さらに、滑走路・弾薬庫・地下シェルターなどの防衛施設への適用可能性を提案し、自己治癒素材の利用拡大の必要性を示しました。
参考:防衛施設学会年次フォーラム2025に出展
防衛施設へのBasilisk活用を提案
超「高耐久」化で防衛の次世代インフラへ(2025年2月12日)
この活動を受け、経営者会議では、防衛予算を活用した新たな入札方式であるECI方式の導入を機会として、防衛施設市場における自己治癒コンクリートの導入をさらに加速させる方策が議論されました。フォーラムを通じて全国規模で技術の認知度を高めたことを踏まえ、今後は各社が持つネットワークと営業力を活かし、実際の採用事例を増やしていく方針を共有しました。
■2024年度の進捗報告と課題
本会議では、2024年度の主要な取り組みの成果として、自己治癒コンクリートBasiliskの全国的な更なる普及に向けた課題が議論されました。自己治癒コンクリートBasiliskは2024年度に3,113トンが出荷され、NETIS-VE評価を取得しましたが、NETIS-VE評価を取得しましたが、より高い評価基準である「活用促進技術」として認定を受けるためには、全国の自治体での採用実績を積み重ねることが重要とされています。
そのため、各地域での施工実績を詳細に追跡し、ひび割れ修復の経過観察データを蓄積することや経済的な効果を示すデータの整理が不可欠であり、従来のコンクリートと比較したライフサイクルコストの削減率を示す具体的な指標の提示が今後の技術普及の鍵となります。
さらに、自己治癒技術の適用範囲を広げるための市場戦略も検討され、他の公共インフラや民間建築物への展開を視野に入れた取り組みを進めることを確認しました。