「発熱コンクリートパネル」を用いた融雪実証試験を札幌・大通公園で開始
會澤高圧と米MITによるコンソーシアムと札幌市が共催
持続可能な冬季道路管理の可能性を検証
會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘)は、米マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究開発したカーボンブラック入り導電性コンクリートを用いた発熱パネルの実証試験を、12月18日より札幌市の大通公園西3丁目エリア内にて開始いたしました。本試験は、札幌市とec³コンソーシアム(會澤高圧コンクリートとMITが共同で設立)の共催で実施され、発熱パネルの融雪性能を検証します。
札幌市は世界でも有数の積雪寒冷都市であり、令和6年度の雪対策費は約278億円に上り、ここ10年間で約1.5倍に増加しています。その背景には、人件費や電気代、燃料費の高騰があり、除雪作業にかかる労力とコストの増加が課題となっています。こうした状況を受け、効率的かつ環境負荷の少ない技術の導入が急務となっています。
本試験では、會澤高圧コンクリート株式会社とMITが共同研究開発した発熱パネルを活用し、効率的な融雪システムの実用化を目指します。これにより、従来の除雪対策を補完し、労力軽減やコスト削減、更には環境負荷の低減につながる可能性を検証します。
■実証試験の概要
本試験では、約5㎡の試験エリアに5枚の発熱パネルを敷設し、それぞれ異なる電圧を加えて発熱量や融雪効果を検証します。
実証試験の概要図
試験期間
・令和6年12月18日(水)から令和6年12月25日(水)※1
・令和7年2月4日(火)から令和7年2月11日(火・祝)※2
※1 2024 さっぽろホワイトイルミネーション期間中
※2 2025 さっぽろ雪まつり期間中
試験内容
1.融雪性能の比較試験
パネルに異なる電圧(24V、12V)を加え、降雪条件下での融雪速度を比較。内部に埋め込まれた温度センサーによるデータとタイムラプスカメラの映像を活用し、発熱量と融雪可能な降雪量の関係を分析します。
2.凍結防止試験
電圧の調整が可能なパネルによって、表面温度を0℃以上に維持するための発熱量を調査。温度センサーを埋め込んだパネルのデータを基に、外気温と発熱量の関係を記録します。
■発熱パネルの特長
- 高耐久性
導電性コンクリートは圧縮強度30N/mm²を実現し、高い耐久性を確保しています。パネルは表層モルタル、導電性(発熱)コンクリート、基層コンクリートの3層構造で、安定性にも優れています。
- エネルギー効率の向上
表層モルタルと導電性コンクリートの厚みを最適化し、熱伝導効率を高めることで、従来のロードヒーティングと比較して30%以上のエネルギー削減を実現しました。効率的な加熱により、必要なエネルギーを最小限に抑えます。
- 均一な温度分布
導電性コンクリートが均一に発熱するため、ムラなく安定した温度を保ちます。これにより、効率的な凍結防止と融雪が可能になります。
- 柔軟な設計と施工性
1m×1mの標準サイズを基本に、自由な設計が可能です。シンプルな敷設工法により、施工期間やコストの削減が期待できます。
- 環境に優しい設計
エネルギー効率が高く、従来のロードヒーティングと比較すると少ないエネルギーで融雪が可能となるためCO₂排出削減にも寄与します。持続可能なインフラ構築を目指した環境配慮型の技術です。
■今後の展望
本試験で得られるデータを基に、積雪量や外気温に応じた最適な発熱量を特定し、エネルギー効率の高いロードヒーティングシステムの実現を目指します。また、導電性コンクリートの蓄電機能と再生可能エネルギーを組み合わせた新たなロードヒーティング技術を開発し、環境負荷の低減と持続可能なインフラ整備に貢献していきます。
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(本プレスリリースの問い合わせ先)
■アイザワ技術研究所株式会社
所長 青木 涼
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