自己治癒コンクリートのバクテリアを自動焦点で簡単撮影
キーエンスの高性能デジタルマイクロスコープで品質システムを確立
バクテリアの活動映像に二次元バーコードでアクセス
會澤高圧コンクリート(本社苫小牧市、社長:會澤 祥弘)は、バクテリアの代謝でコンクリートのひび割れを自己治癒させるテクノロジー「Basilisk」の品質管理に株式会社キーエンスの高性能デジタルマイクロスコープを導入し、生産ロットごとにバクテリアの活動状況を手軽に確認できる新たな品質システムを確立しました。
高性能デジタルマイクロスコープVHX-7100
「Basilisk」はコンクリート内部に配合するバクテリアが乳酸カルシウムの餌を食べて、排出した炭酸カルシウムでひび割れを自動的に修復する、素材とバイオを融合させた先端テクノロジーです。
特殊な撹拌機でバクテリアを乳酸カルシウムに封じ込めた自己治癒材「HA」の製造プロセスにおいてバクテリアの生存と活動の状況を的確に把握することが品質を保証するうえで極めて重要であり、キーエンス社の先端的な検査機器の導入によって、顧客が安心して自己治癒コンクリートを使用できる信頼のトレーサビリティ環境を整えました。
■熟練の技を要しないAF(自動焦点)
当社の研究開発(R&D)部門であるアイザワ技術研究所(以下「技研」)が、キーエンス社の高性能デジタルマイクロスコープ「VHX-7100」を24年3月に導入し、より高度な品質システムの構築を進めて参りました。技研ではバクテリアの管理手法としては18年3月より他社製のデジタルマイクロスコープを使用して参りましたが、解像度は十分な性能を有するものの、手動操作が必要なため、活発に動き回るバクテリアに焦点を当てた映像を撮影するには多くの時間と熟練の技を要することが大きな課題となっていました。
このため、生産時のロット管理としては、密封されたガラス容器の中にバクテリアと酸素濃度計を設置し、バクテリアの呼吸によって減少する酸素濃度を計測することで、バクテリアの生存を間接的に判断する手法などを併用して来ましたが、作業が煩雑であるうえ計測の精度についても課題を残していました。
これまでの品質管理に使用していた酸素濃度計
今回導入したVHX-7100は、ハイレゾリューションレンズの採用により被写体を最大6,000倍まで拡大観測し、バクテリアの動きに応じて全自動で焦点を合わせた映像の撮影が可能となります。撮影に要する時間や手間を大幅に削減できるうえ、画像データの管理も容易となり、顧客向けに生産ロットごとの品質データを公開することが可能になりました。
「Basilisk HA」の撮影画像 (700倍)
今後、會澤高圧コンクリートでは、培養したバクテリアをプラントに入荷した時点と、バクテリアと餌の素となるポリ乳酸を攪拌して自己治癒材「HA」をバッチ製造する2つのタイミングで、バクテリアの生存並びに活動状況をVHX-7100で撮影し、サーバーでデータ管理します。自己治癒コンクリートを発注したお客様に提出する『Basilisk HA Material Report』には二次元バーコードが掲載され、自らが購入した自己治癒コンクリートに配合されたHAのバクテリア活動状況をパソコンやスマートフォンで確認することができるようになりました。
これからのトレーサビリティイメージ
■バクテリアの適応環境検証にも活用
バクテリアが代謝活動を行うためには水と酸素が必要となりますが、海水や薬品が混入された排水が供給されるような特殊な環境の中でのバクテリアの適応可否については、これまでコンクリート供試体による漏水試験を行って確認する必要がありました。試験結果を得るまで多くの時間を要していましたが、高性能デジタルマイクロスコープを活用することで、特殊な環境下でのバクテリアの生存状況を直接確認することが可能になりました。
実際に「Basilisk HA」が適用された現場で、ひび割れが発生しているにも関わらず自己治癒効果が進行していないケースがあった場合、ひび割れ部分のコンクリート片を採取しバクテリアの生存状況を観察する原因調査を有償で実施する方針です。
「Basilisk HA」 material reportのサンプル
当プレスリリース及び関係する画像ファイルなどはこちらからダウンロードいただけます。
https://drive.google.com/drive/folders/1e4YliEiSMXKRzbBUV12eRa6DuFXb4ky9?usp=sharing
(本プレスリリースの問い合わせ先)
■會澤高圧コンクリート株式会社
未来開発本部 デジタルマーケティング統括
大橋 未来(080-2740-0971)