會澤高圧コンクリート 防災テック市場に本格参入
ドローンと観測衛星が連携する精密避難支援システム「The Guardian」を開発
第一号は福島県浪江町に24年春実装へ
6月29日からの第1回地域防災EXPOに出展
會澤高圧コンクリート株式会社(本社苫小牧市、社長:會澤 祥弘)は、ドローンと衛星のデータを連携させて津波や河川の氾濫からひとの命を守る精密避難支援システム「The Guardian」(ザ・ガーディアン)を衛星データ処理のエキスパートなどと共同開発し、防災テック市場に本格参入いたします。
「The Guardian」は、数十年以内に確実に起きるとされる南海トラフ地震や日本・千島海溝型地震による巨大津波、さらには激甚化する一方の豪雨災害に対する備えとして、自治体向けに構築する住民のスマホを対象にした精密避難支援システムです。
観測衛星が捉える各種データと雨天時にもエンジンで長時間飛行し続ける独自開発の産業用無人航空機が巧みに連携し、巨大地震発生時には海岸線上空からの長時間ライブ中継を、河川氾濫の恐れがあるときはピンポイントで浸水被害を数十時間前に予測し、住民のいち早い避難行動を促します。
私たちは、22年6月29日(水)~7月1日(金)に東京ビッグサイトにて開催される「第1回地域防災EXPO」において、「The Guardian」のシステム概要と500㏄エンジンを搭載した大型エンジンドローンを発表。航空宇宙技術をテコにした「新しい防災のカタチ」を自治体の防災担当者に提示し、本システムの普及に努めて参ります。
私たちは現在、来年春の竣工を目指し、次世代の研究開発製造の中核拠点となる「福島RDMセンター」を福島県浪江町「南産業団地」に建設しています。イノベーションの力で震災からの復興を目指す浪江町と私たちは、21年4月に本システムの実用化に向けて連携協定を締結し開発に着手しました。24年春にも浪江町を流れる請戸川河口付近においてシステム一式の初号機「Episode 1:NAMIE」を社会実装いたします。
開発には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の衛星データ処理を担う一般財団法人リモートセンシング技術センター(RESTEC)、エンジンドローン開発のアラセ・アイザワ・アエロスパシアル(AAA)のほか、ドローンの自律航行やピンポイントの浸水被害予測のデータ処理基盤となるSYNCWORLD™エンジンを開発するため、ひとのデジタルクローン技術で世界をリードするオルツ、ゲーム開発のハニカムラボなど複数のエキスパートが参画しています。
「The Guardian」は、5つの異なる技術を連携させて、個人の緊急避難や計画避難に資する防災用のデータ価値を生み出す取り組みであり、主に巨大地震が引き起こす津波と、ゲリラ的な豪雨による河川氾濫の二つを対象としています。
一定震度以上の地震が発生した場合、強風・降雨時でも飛行できる産業用無人航空機「G-1」(Engine Drone AZ-500)の500㏄エンジンが自動的に起動、耐震機能を備えたコンクリート製のドローンシェルター「G-2」(Autonomous Drone Shelter / ADS)から確実に飛び立ち、自律航行しながら連続5時間にわたって海岸の映像を上空からスマホにライブ中継します。報道ヘリや自衛隊のヘリが駆けつける前に、住民一人ひとりが「鷹の目」を持つことになり、非常事態において適切な避難行動を促します。
一方で「The Guardian」は、地球観測衛星「G-3」(EOS)によって河川幅の経時変化を「星の目」で常に捉え続けています。同期型の電子座標軸であるSYNCWORLD™「G-5」は予め河川の堤体の詳細な地形データを含む対象エリア全域のデジタルツインを管理しており、これに最大51時間先の降雨量を1㎞メッシュで把握する気象観測衛星「G-4」(Meteorology Satellite)からの精密なデータを統合して解析することで、越水の時間を予測するのみならず、「あなたが今いる場所は、数十時間後に〇センチまで水に浸かる」という世界に例のないパーソナルな「水害未来予測」を提供することができるようになります。
洪水警報が出ても避難をせず、突然の浸水によって命を失うというケースが増えていますが、個々人に向けて発信されるパーソナルかつピンポイントの事前警報は、垂直避難を含む計画的な避難を住民に強く促すことになり、大切な家財を安全な場所に一時退避させるなど財産の保全にもつながります。また自治体職員にとっては、災害時に行っていた危険な巡回業務をなくすことができ、避難誘導業務も大幅に軽減します。
創業以来、ひとの命を守るコンクリートインフラを手掛けて来た私たちですが、30年以内に70%以上の確率で発生する南海トラフ地震や日本・千島海溝型地震による津波の想定最大高は30mにも達し、北海道から九州に至る305の自治体に甚大な被害が及ぶと予想されています。さらに雨の降り方が従前のインフラの許容値を軽く超えてしまうほど激甚化し、「コンクリートだけでは命を守れない」という厳しい現状認識のもと、コンクリートインフラの限界を補完する新たな防災の在り方を模索して参りました。
東日本大震災で巨大津波が海岸に押し寄せる様子をヘリコプターから撮影した映像は、私たちに衝撃を与えた一方で、この映像が当時の沿岸部にいた方々にリアルタイムに届いていたなら多くの命が助かったのも間違いありません。あの時の報道ヘリからの映像が、「The Guardian」開発の原点となりました。毎年のように数十名もの規模で被害者を出す豪雨災害ですが、よりリアリティーのある災害警報が個人向けに事前に届いていれば、失わずに済んだ命は決して少なくないでしょう。
私たちは浪江町を舞台に「The Guardian」の第一弾「Episode 1:NAMIE」を社会実装すると同時に、本システムの導入を隣接の自治体などに拡げながらネットワーク化を進めて行く考えです。我が国の網の目のような水系と長大な海岸線が衛星の「星の目」で常時監視され、「鷹の目」を持つドローンが定期的に行き交う「水上のハイウェイ」へと進化し、新たな防災インフラとして定着することを目指して、本システム構築を進めて参ります。
■イベント開催概要
名称:第1回地域防災EXPO/自治体・公共Week
会期:2022年6月29日(水)~7月1日(金) 10:00~18:00
会場:東京ビッグサイト
公式サイト:https://www.publicweek.jp/ja-jp/about/bousai.html
■プレスリリースのお問合せ先
開発営業本部 宮田 達也(080-2863-4149)
デジタル経営本部 嘉津山公一(080-2879-8218)
TheGuardianWebサイト https://theguardian.jp/
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