ケイコン三重工場でΣBase/HパイルをOEM生産

コンクリート製品大手のケイコン(本社京都市、社⾧:荒川 崇)と総合コンクリートメーカーの會澤高圧コンクリート(本社苫小牧市、社⾧:會澤 祥弘)は、土木系プレキャスト製品でのこれまでの協力関係をベースに、今後比重が高まるとみられる民間建築向けプレキャスト製品の生産、販売、技術の各分野で広く提携することで合意しましたので、ここにお知らせいたします。

西日本を中心に強固な経営基盤を築き、高速道路関連のプレキャスト製品において全国規模で事業展開するケイコンと、北海道から東北・北関東にかけて官公需のみならず住宅系需要の取り込みを図っている會澤高圧にとって、今回の“東西提携”は生産や販売での相互補完性が極めて高く、競争優位をもたらすものと判断いたしました。

ケイコンは建築分野では、主に集合住宅や倉庫、病院といった大中規模建築物をターゲットに、床版や柱、梁といったプレキャスト製品を供給して参りました。今後、生産年齢人口の減少に伴い、戸建住宅市場においても建設時における省力化のニーズが高まると判断。建築分野の裾野を拡大する戦略の一環として、同分野に強い會澤高圧と組み、同社の住宅用プレキャスト基礎「ΣBase」や住宅用PC パイル「H パイル」の受託生産に踏み切ることにいたしました。一方、會澤高圧は、現在、東北や関東が中心となっているΣBaseの供給エリアを西日本に拡大し、早期に全国的な供給ネットワークを構築する必要に迫られていました。

提携の第一弾として、ケイコンは4月から三重県伊賀市の「三重工場」の新工場棟において、會澤高圧が住友林業に供給しているプレキャスト住宅基礎『ΣBase-S』のOEM(相手先ブランドによる生産)供給を開始します。住友林業からの発注を受けて會澤高圧のΣBase設計センターがプレキャスト部材の製造計画を立案し、三重工場に製造依頼をして供給します。初年度180棟、3年後には年間360棟まで供給能力を引き上げる予定です。

新工場棟は昨年12月、大和ハウス工業を元請けとして建設。複数の工場建屋を新工場に集約し、クレーンの容量拡大などにより、製造品目の大型化に対応しました。工場の年間生産能力はおよそ22,000㌧。夏季の熱中症対策として室内温度を26~28℃に保持できるよう、気流解析に基づいた空調設備を導入した閉鎖型の新鋭工場で、複雑で高度な作業を快適に行えるようにしたのが特徴です。

ケイコン三重工場
ケイコン三重工場

 

人手不足などを背景に大手ハウスメーカーでは住宅用プレキャスト基礎の導入意欲が急速に高まっています。會澤高圧の『ΣBase』は、プレキャスト基礎の大量製造供給モデルを、施工を含めて業界で初めて確立したもので、住友林業に対しては、関東圏を中心に累計2,000棟の供給実績を誇ります。

會澤高圧は、年間600棟の供給能力を持つ茨城県桜川市の「真壁工場」に、年間360棟のケイコン「三重工場」の供給力を加えることなどで、年間1,000棟を超える全国レベルのΣBase供給網を早期に確立する計画です。

同時に會澤高圧は、住宅用H型PCパイル(略称:Hパイル)についても年間6,000㌧の製造を三重工場に委託し、中部・近畿圏の供給力を増強します。ΣBaseとHパイルの製造受託により、ケイコンの三重工場は生産能力の約半分に相当する安定した需要を取り込むこととなり、製造原価の低減と住宅系建築部材の製造ノウハウの取得につなげる考えです。

ケイコンと會澤高圧は、ともに1935年創業の日本を代表する老舗コンクリートメーカー。ケイコンの20年6月期の売上高は190億円、會澤高圧の20年3月期の売上高は187億円。

 

以上